飲むコシヒカリ
ピュアライスワイン
(田嶋酒造/福井市桃園)





米の甘みでスッキリと飲みやすい白ワインタイプ
創業江戸時代後期、福千歳の銘柄で知られる田嶋酒造。造りの基本は、あくまでも山廃仕込(やまはいじこみ)、自然の摂理を生かした山廃仕込で伝統の技術で酒を醸し出す。その一方で、日本 酒を飲んだことがない人にも最初の1本を届けたいという想いから、近年ではワイン製法やオーク樽熟成など、新しい酒造りにも挑戦し、日本酒の可能性を広げ、オンリーワンな酒蔵を目指している。
そんな蔵が開発したのが飲むコシヒカリ「ピュアライスワイン」。「福井のコシヒカリ×ワイン酵母」のコラボレーションで醸す酢純米酒だ。米の甘みと、甘酸っぱいけれどスッキリと飲みやすい白ワインタイプの純米酒が誕生した。アルコール度数もワインと同等の12%。見た目、味わいともに白ワインを連想させるお酒は、冷やしてワイングラスで飲むのがおすすめだ。
「一度飲んだら忘れられない心のこもった酒造り」をモットーにする酒蔵から、また忘れられない至高の一本が生まれた。
Profile
江戸時代後期(1840年代) 創業。伝統と革新、そして挑戦を楽しみ、オンリーワンの蔵を目指す。自信を持って造った酒を、最高の状態で届けるため、商品に応じてタンク貯蔵や専用の冷凍冷蔵コンテナで、熟成具合を確認しながら、それぞれの酒に最適な温度管理を徹底している。
銘柄「福千歳」の由来は、創業の地・福井市清水町を離れて最初に暮らした土地、千歳(ちとせ)町での良き思い出からと命名。福が千歳と続くようにという願いも込められているという。
糀が保湿やハリを保つ手助け
糀のハンドクリーム みそらくりん
(米五/福井県福井市春山)





こだわりの味噌店が作ったこだわりの一品
創業天保2 (1831) 年、大本山永平寺御用達唯一の味噌店が福井市にある米五だ。近年は輸入素材を使った味噌が増えるなか、すべて国内産の原料にこだわり味噌を製造している。また、一部の商品では県内産の大豆や米を使うなど、地産地消にも積極的だ。大豆の蒸煮から麹造り、仕込み、熟成と、180年以上もの間、米五では味噌造りの風景は変わらない。 特別なことはしない、ただ当たり前のことを当たり前に続けながらも、その工程の一つとしておろそかにしない。 それが、米五の変わらぬ味の基本だ。
また、旧来の味噌造りの伝統を守り通すだけでなく、その時代ごとに新たな伝統を生み出している米五。そんな頑固な味噌店が作ったこだわりの一品が「糀のハンドクリーム みそらくりん」だ。「味噌」と「ハンドクリーム」と聞くと結びつかないかもしれないが、ハンドクリームのベースとなっているのは味噌を作る際に利用されている「糀」。昔の味噌づくりの職人たちは、糀作りの際に素手で麹菌に触れていたため手がきれいだったといわれている。コメ発酵エキスを含み、肌に美味しく、やさしい糀のハンドクリーム。味噌を美味しくさせる糀は、手肌の潤いを守ってくれる嬉しい成分が豊富。肌によく馴染み、さらさらした触感の糀のハンドクリームは、肌の保湿やハリを保つ手助けをしてくれる。
Profile
天保2 (1831) 年の創業以来、旧来の味噌造りの伝統を守り通すだけでなく、その時代ごとに新たな伝統を生み出し続けている味噌店。大量生産をせず、小さな蔵であり続けることをモットーに、味噌を通じてお客様に満足を届け、味噌造りの楽しさと誇りを大切にしている。また、毎日の食卓に欠かせない味噌だからこそ、安心して食べてもらえるよう原材料の品質管理をも徹底している。
味も見た目も魅力的八重桜の花びらを包みこんだ桜色のゼリー
桜ゼリー
(かをり商事株式会社/神奈川県横浜市山下町)





さわやかな風味と蜜漬けの桜がアクセント
ほんのりとした桜色の洋酒ベースのゼリーの中に、蜜漬けした八重桜の花。口に含むと桜特有の香りがふわりと広がる。ほどよい弾力感とさわやかな味わいで、しゃりっとした桜の花びらの歯触りがほどよいアクセントになっている。
横浜市山下町に本店を構える老舗洋菓子店「かをり」の桜ゼリーだ。2004年に「日本の心をお祝い事の傍らに、また世界へと広げたい」という願いのもと、同社社長の板倉敬子さんの発案で商品化された同社の逸品。お茶請けとして、慶事や祝い事に、また、海外へのお土産としても人気だという。「過去には元米大統領夫人ヒラリー・クリントンさんから感謝状を頂いたこともある、日本の心を伝えるゼリー」でもある。リキュールの風味が大人の味わいで男性にも好まれている。
同店ではほかにも、看板商品の「レーズンサンド」ほか、ゆず・ピーチ・ブルーキュラソー・オレンジ・ペパーミント・アップル・グレープ7種類の詰め合わせの「宝石ゼリー(ヴィーナスの誕生)」、「トリュフ」、「かをりサブレ」などをそろえる。
Profile
1969年、幕末に日本発の西洋式ホテルが建てられた居留地70番(現在山下町70番地)の地に、個室・宴会場を備えたフレンチレストランとして開業。
トリフ・レーズンサンドをはじめとしたオリジナル洋菓子を山下町本店の他、市内、県内など全国各地の有名 デパート・高級ホテルなど20数店舗にて販売。横浜開港当初からの変わらぬ姿は一見の価値あり。
https://kawori.co.jp/shop-info/
※現在、レストランと喫茶部門は休業中。
味も見た目も魅力的
さくらのワイン
(白百合醸造/山梨県甲州市勝沼町)





八重桜をそのままボトルに入れた春のロゼワイン
山梨県産甲州とマスカット・ベーリーAを使用したロゼワインに、桜の花を浸した香りのあるフルーティーな甘口のワイン。桜の芳香と甘くフルーティなワインが溶け合う優しい味わいだ。桜の花は、国産で食用の八重桜を使用。
同ワイナリーの葡萄畑から、春には富士山と桜が同時に眺められ、その美しく凛とした風景をワインに表現したいとの想いから生まれたのが「さくらのワイン」だ。アルコール分も6%と控えめ、食後のデザートワインとしても楽しめる。同じ、マスカット・ベーリーAを使用しロゼワインに食用のサクランボを浸した、見た目もかわいい、リラックスタイムにおすすめのさくらんぼのワインも人気。
どちらもフルーティでフレッシュな味わいで、意外にも桜餅や苺大福などの和菓子ともよく合うのだとか。テーブルコーディネートも華やぐこのワイン、お花見や祝いの食卓 、ギフトにもおすすめ、桜の訪れとともに、さまざまなシーンで楽しんでほしい。
Profile
日本最高峰のワイン原料の葡萄を育てる地・勝沼で、1938年創業のファミリーワイナリー。「ワイン造りはシンプルだからこそ原料となるブドウの良否が大切」という考えのもと、
原料ブドウは自社畑と契約畑で栽培し、ブドウ栽培からワイン造りまで一貫して取り組んでいる。ワイナリーの愛称である「L'ORIENT(ロリアン)」は「東洋」を意味するフランス語で、ヨーロッパに劣らぬ高水準のワイン造りを目指し名づけられている。
天橋立の風土が育んだ缶詰
オイルサーディン
(竹中罐詰株式会社/京都府宮津市)





素材の風味を大切に手仕事だからできる丁寧な缶詰
缶詰づくりの基本は、まず鮮度の良いイワシを仕入れること。その年に生まれた新鮮な小ぶりのいわしを、伝統の技術で油づけにした、見た目も美しいオイルサーディン(いわし油づけ)の缶詰は、同社の代名詞。宮津・天橋立の風土に育まれてきた逸品だ。使用する油も、綿の実から採れる上質な綿実油を使用し、さらりとした上品な味わいに仕上がっている。そのままはもちろん、サンドイッチやピザ、炊き込みご飯などにも利用できる。
一つ一つ 丁寧に手作業で製造した「天の橋立シリーズ」は、オイルサーディンのほか、はたはた、沖ぎす(にぎす)、ホタルイカ、帆立貝柱、かき、つぶ貝など全9種類。求める品質には妥協がなく、機械化・自動化が進む中でも手作業の方が優れていることが多くあると考え、原料の魚介類の下ごしらえから缶に詰めるまでの過程を手作業で行う。天然の原料を使用しているため魚介類の大きさや形は日によって異なるが、そのわずかな違いを熟練の技で見極めながら、丁寧かつ素早い手作業で鮮度を保ちながら、缶詰に仕上げている。
Profile
他業を営んでいた2代目がオイルサーディンの製造を学び、1908(明治41)年、創業者が京都市内で野菜の缶詰製造業開始。以来、「缶詰は中身が見えないので、信用で買っていただくもの」と「召し上がっていただく方に良かったと思っていただけるよう」をモットーに、確かな素材を選ぶことを心がけ、開けて美しく、食べておいしい缶詰を目指す。
まろやかな塩味と旨味
藻塩
(男鹿工房/秋田県男鹿市船川)




天候を見極めながら海藻を乾燥させて旨味を凝縮
藻塩とは、海藻が入った塩のこと。平釜でじっくり仕上げた塩に海藻(ホンダワラ)のエキスを絡ませて仕上げた藻塩。少し色味が付いた塩は、一般的な塩に比べて、まろやかな塩味が特徴だ。藻塩の決め手となる海藻は、地元男鹿半島の海で採れた良質な海藻。この海藻を新鮮なうちに天日干しで乾燥させる。天日干しは必ず2日間連続した晴天の日にしか行えないのだという。この天候を見極めながら海藻を乾燥させて旨味を凝縮させるひと手間が重要なのだとか。これと塩を合わせて藻塩が完成する。
合わせる塩は、平釜で男鹿沖の清らかでミネラル豊富な海水を、「蒸散方式」で沸騰させずに長い時間をかけて煮詰め、1日かけて平釜で結晶化させる。これをさらに1日かけてにがりを切り乾燥させたこだわりの塩。1500ℓ~2000ℓの海水からできる塩は約40㎏。
シンプルな料理ほど塩の旨みが引き立つ男鹿工房の塩。やわらかな塩味と旨味、舌に残る味わいもすっきりとした印象だ。藻塩は、海藻に含まれる旨味成分「グルタミン酸」でより塩の旨味を感じるのだとか。美味しい塩を作りたいという想いと昔ながらの製法で丁寧に、時間をかけて作った技術の結晶。男鹿市を象徴するなまはげのパッケージも印象的だ。
Profile2004年、初代が「塩を地域の特産品として作ったら盛り上がるのでは」と、製塩所を創業。秋田県男鹿半島の海で採取した海水から作られた塩の販売を手掛ける。創業20年目となり、現在は2代目の社長に塩づくりが受け継がれている。秋田県に唯一残る塩工房。
お燗をしておいしい酒
純米カップ酒「悠々燗々」
(玉櫻酒造/島根県邑智郡邑南町)





熟成過程で滋味を蓄えた純米酒
薄く番茶のような色合いが印象的だ。島根県邑智郡邑南町にある玉櫻酒造が造る燗酒向き純米カップ酒「悠々燗々(ゆうゆうかんかん)」だ。無ろ過で二度の火入れにこだわった純米酒は、熟成過程で滋味を蓄え、趣を増しながら色づいていくのだという。
ちなみに名前の由来は、「悠々閑々(悠々緩々)=ゆったりとしている様子」にお燗酒の要素を入れた造語。慌ただしく落ち着かない世の中でもお燗酒を飲んで、自然と心を和んでほしいという造り手の願いが込められている。
「熟成酒を冷やして飲むのはおすすめしません」という同蔵5代目の櫻尾尚平氏と弟の圭司氏。常温でも十分旨みを感じることはできるが、燗をする事で真価を発揮するのだという。全量を地元産契約栽培米を使用し、糖分が全てアルコールに変わるまで発酵させる完全発酵。しっかりとした旨みをもちながらも自然な味わいが自慢だ。一口目は素っ気なく感じても飲み進めるにつれ、滋味の豊かさが感じられる。また、不思議とお腹も減って料理もすすむ。 邑南町産の米から生まれた、温かいご飯のような包容力を持つ酒は、造り手のように可愛くたくましいクマが目印だ。
Profile
8割が森林という島根県邑南町、現在も河川には特別天然記念物であるオオサンショウウオが生息し、田んぼが広がる里山だ。この地で1892年創業、現在杜氏を務めるのは5代目蔵元の櫻尾尚平氏と弟の圭司氏。原料米由来の味の違いを楽しむため、できるだけ単一品種の米で仕込み、ブレンドは行わず完全発酵、無ろ過、熟成にこだわる純米酒を提供。料理に合う、燗酒として楽しむ酒を主軸に、飲んで落ち着くような包容力を持つ酒、元気になるような生命力を感じる酒を目指している。
醤油蔵のせんべい
こわれせん
(笛木醤油/埼玉県比企郡川島町)





わざと手割りすることで、割れめにも味が浸みて風味豊かに
県内有数の醤油の産地だった埼玉県川島町で唯一残る、創業寛政元年の醤油蔵・笛木醤油。醤油の原料は丸大豆、県産の小麦、天日塩のみ。2夏かけてじっくりと発酵熟成させたまろやかな醤油が自慢だ。
そんな老舗醤油蔵がが作るせんべいが人気を集めている。国内産うるち米を原料に、直火でカリッと焼き上げた生地を手割りし、同蔵自慢の金笛しょうゆで作った旨味豊かな醤油ダレで味付ける。通常のこわれせんは、良品にならない撥ね品を集めているものが多く、割れめのところに調味液がついていないことも多いというが、同蔵ではせんべいを焼き上げてからわざと手割りし、調味液に漬けることで、割れめにも味が浸み込んでおり、風味も増すのだという。
醤油・ 胡麻など、1袋で数種類の味を楽しめるこわれせん。割れているためにひとくちサイズで食べやすく、醤油蔵らしいしっかりした味が特徴のせんべいだ。
Profile
笛木醤油株式会社は、江戸時代から川越藩の穀倉地帯として栄えた川島の地で1789(寛政元)年に創業。看板商品は「金笛(きんぶえ)」のブランド名で知られる濃口醤油「金笛醤油」と「金笛丸大豆醤油」。本社敷地内のほか、川越市にも直売店と食事処を運営。笛木醤油本社敷地内には、金笛しょうゆパークを2019 年に開業。工場見学(無料)ができるほか、原料などを展示したミュージアム・レストラン・直売店・バウム工房を併設。
和菓子の木型と技術をいかした大人向けラムネ菓子
高岡ラムネ
(大野屋/富山県高岡市木舟町)





甘辛い味わいと弾力ある食感が特徴
加賀藩二代目藩主・前田利長によって高岡城の城下町として栄えた高岡市、そんな歴史ある城下町で180年の歴史を持つ老舗和菓子店「大野屋」が歴史の中で使ってきた木型と培った技、和菓子の季節や行事に合わせ生まれた美しい造形、さらには富山県産コシヒカリや国産素材を組み合わせ、高岡文化の新旧を織り交ぜたのが「高岡ラムネ」だ。高岡ラムネを手がけたのは、大野屋の長女・大野悠氏。職人たちの協力を得て2年の歳月をかけてオリジナルのラムネを完成させた。
使用する材料を混ぜ合わせラムネ用にリサイズした木型に詰め、木製のコテで叩いて打ち出す。作業そのものは和三盆を使った干菓子と同じだが、ラムネは落雁に比べて小さいため、打ち出しに技術を要する。同店の木型で1回に作れるラムネは10コ。
難しいのは、木型に粉を詰める際の力の加減。型1つずつに加える力が強くても弱くてもいけない、職人が覚えた手の感覚がすべてである。多くが原材料にコーンスターチを使うなか、同店は富山県産コシヒカリの米粉を使用。そこに厳選した国産品の生姜やいちご、ゆず、りんごなどを加工したものを加え、生姜はピリッとして風味豊かな大人向けのラムネに仕上がっている。
職人がひとつひとつ手で作ったラムネは、ふんわり柔らかな口どけの後に、国産の素材が香る優しい味だ。
Profile
株式会社大野屋
天保9(1838)年創業。初代大門屋吉四郎がそれまでの醸造業から菓子屋に転じたのが始まり。以来この高岡の通称「山町筋」で菓子屋を営み続け現当主で9代目。代表銘菓「とこなつ」や「田毎」など、万葉の歌人・大伴家持の歌に因んだ銘菓を中心に、四季折々のお菓子など多数取り揃えている。2013年より発売した和菓子木型で作った「高岡ラムネ」はThe Wonder 500に選ばれた。